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Saturday, May 30, 2020

「勝負だから負けたっていいんですよ。そこで何を考え、次に向かって何を努力したのか、それが人生につながっていく」 ボクシング王国・沖縄を築いた金城眞吉のコトバ - 沖縄タイムス

 かつて沖縄は「ボクシング王国」と呼ばれた時代があった。1970年代から90年代半ばにかけ、インターハイや国体では多くの高校王者が誕生し、プロでも沖縄県出身の世界チャンピオンが次々と生まれた。
 
 この王国を築いたのが故金城眞吉である。興南高校と沖縄尚学高校で計45年間、400人超を指導し、延べ40人の高校王者を育てた。具志堅用高をはじめ、ピューマ渡久地や玉城信一、名護明彦、翁長吾央、嘉陽宗嗣など、後にプロで活躍する選手も多く輩出した。

自宅を改造して造ったウインナーボクシングジムでポーズを取る金城眞吉さん。延べ40人の高校王者を育てた=2014年2月、那覇市首里石嶺 

◇「俺なら勝てる」闘志燃やした少年時代

 1944年10月16日、米軍の空襲に見舞われた那覇市首里の防空壕の中で生まれた。中学時代、米軍基地内で初めて見たボクシング。体の小さな沖縄の選手が大柄な米兵に倒される姿を見て「悔しい。俺なら勝てるのに」と闘志を燃やした。

 南部農林高校で競技を始め、日本大学に進学したが沖縄流けんかボクシングは本土で通用しなかった。「指導者になって、本土に負けない沖縄の選手を育ててみせる」と決意を固め、卒業後に帰郷。69年、那覇市消防本部に勤務しながら夜勤明けの休日を使い、ボランティアで高校生の指導に取りかかった。

◇経済も学力も本土に勝てない沖縄・・・ 「逆境をバネに」

 文字通りの熱血指導だった。「ヤマトーンチュ、タックルセー!」「ヤマトーンカイ、マキランケー!」と沖縄の言葉で若者を鼓舞し続けた。

 「指導を始めた頃、沖縄は経済も学力も甲子園でも本土に歯が立たなかった。選手たちには、その逆境をバネにしてほしかった」  米占領下、沖縄からインターハイや国体に出場するにはパスポートが必要だった。全国の舞台で緊張する選手に「相手に余計なコンプレックスを持つな。同じ体重の高校生だろ? クルしてこい!」と背中をたたいてリングに送り出した。  

海邦国体のボクシング少年の部団体決勝で、教え子たちとリングに上がる金城眞吉さん(右)。5-0で優勝し、のちに「最も印象深い勝利」と振り返った=1987年10月30日、沖縄市立体育館

 説法は長いが答えは言わず、自分の頭で考えさせた。背の低い選手には「狭い部屋で2㍍の棒を持ったやつとの戦い方を考えろ」。単に「ガードを上げろ」と指示するのではなく「なぜ上げなきゃいけないのか」を突き詰めさせた。

 「勝負だから負けたっていいんですよ。そこで何を考え、次に向かって何を努力したのか、それが人生につながっていく」

 指導は熱を帯び続ける。85年からは自宅を改造してジムと合宿所を造り、選手と寝食を共にした。妻の故清子さんと二人三脚で、身銭も切りながら若者の人生を預かった。

◇リングで子どもたちと向き合い続けた人生

 400人超の教え子のうち、一番の優等生は具志堅用高だが、多くは家庭や地域、中学が見放した手に負えない子ばかりだった。「子どもの居場所」などという言葉などない時代、「そんな子こそ、うちで預かる」と受け入れ、リングという居場所をつくった。

「僕もワルだったからね。放っておけない。でも、本当に悪い子なんていないんだよ」。構えたミットはパンチだけでなく、その子の全てを受け止めた。  

自宅を改造して造ったウインナーボクシングジムで、選手を指導する金城眞吉さん=2013年、那覇市首里石嶺町

 2016年に末期がんが発覚した後もボクシングへの情熱は衰えず、病と闘った。3度の危篤を乗り越えた姿は、ダウンから立ち上がるボクサーそのもの。若者に何千万回も発したであろう「自分に勝て」を体現し続けた。
 
 そして17年11月16日午前1時34分、家族や多くの教え子らが見守る中、「ボクシング王国・沖縄」を築いた名伯楽は73年の生涯を閉じた。最期は最愛の弟子、具志堅用高の腕の中だった。
 
記事・磯野直、デザイン・新垣怜奈  


 

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May 31, 2020 at 01:15PM
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