原田達矢、諏訪和仁
創業100年を超える京都の老舗ベーカリー「進々堂」が、業務用冷凍パンの賞味期限を偽装し、最大で2カ月延ばして販売していたことがわかった。同社が取材に対して、事実関係を認めた。これまでに健康被害などは確認されていないといい、販売先のホテルなどに謝罪する方針。
同社によると、賞味期限を偽装したのは業務用冷凍パンの「セレアルプチ」や「ヨモギバンズ」など4種類、約100パック(1パックに10~15個入り)。
営業や製造の社員2人が2月、本社工場(京都市伏見区)で数度にわたり、賞味期限が迫るなどしたパンの包装を開け、新しい賞味期限を印字した包装に入れ直したという。賞味期限は通常、包装した日から2カ月としているが、3日~2カ月先に延ばしていた。
社内調査に対し、社員はコロナ禍で発注が少なく在庫を抱えていたと説明し、「冷凍だから大丈夫と勝手な判断で入れ替えた」などと話したという。
消費者庁によると、賞味期限は「おいしく食べられる期限」を示し、製造業者が定める。今回の偽装は、食品表示法(食品表示基準)の定めに抵触する可能性がある。
同社によると、3月に内部通報で発覚。10月に社員2人を処分し、11月に保健所に報告した。新たに品質管理室を設け、偽装できないような在庫管理システムを導入する予定だという。同社は「再発防止に努めたい」としている。
進々堂は1913年に京都市で創業し、市内中心部などに販売店や飲食店を12店舗展開する。業務用冷凍パンは京都府や大阪府、滋賀県などのホテルや飲食店に納めている。2020年9月期の売上高は約16億円。(原田達矢、諏訪和仁)
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