みずほフィナンシャルグループ(FG)の木原正裕社長(56)は本紙のインタビューで、顧客に影響の大きいシステム障害が今後発生した場合には、障害を把握してから「1時間以内に連絡が来る。部長レベルの会議もやる」と述べた。昨年2月の障害発生時に前社長らの把握が遅れたことについては、「僕にはメールも来るし重要なものは電話も来る」として、現在は改善したと説明した。(皆川剛)
木原氏は今年2月、昨年来相次いだシステム障害で引責辞任した坂井辰史前社長の後任として就任した。
◆グーグルの自由な企業風土取り入れたい
一連のシステム障害を巡っては、「言うべきことを言わない、言われたことだけしかしない」という企業風土が問題の「真因」だと金融庁から指摘されている。みずほFGは3月に、米IT大手グーグルとの提携を公表。木原氏は、同僚からの非難を恐れることなく自由に意見を交わすグーグルの企業風土を取り入れたいとの見解を示した。
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【一問一答】聴覚障害者がATMの電話使えない「認識ない」
主な一問一答は以下の通り。
―顧客を立ち往生させた昨年2月の障害では、社内で関係部門への連絡が遅れ、対策会議開催まで4時間以上を要した。
「今は(障害認知から)1時間以内に連絡が来る。部長レベルの会議もやる」
―前社長や前頭取の障害把握も遅かった。
「僕にはメールも来るし重要なものは電話も来るから」
―対応は障害認知から1時間以内にできるのか。
「だから来るって言ってるじゃない。もうそんなところまでさかのぼりたくない」
―大事なことだと思う。
「だからできてるって言ってるじゃない」
―障害時に耳が聞こえない人が現金自動預払機(ATM)横の電話を使えず、代替手段がなかったことが顧客意識の希薄さだ、と第三者委員会が指摘した。
「ちょっとそこは認識ない。ただ、今後全てのATMにビデオスピーカーを入れることで解決されると思う」
「さらに、キャッシュカードをくわえ込まないようシステムの仕様を変えた。処理内容も(ATMの)画面に表示するようにしたので、お客さまは『みずほはこういう対応をするんだ』と分かっていただけると思う」
―企業風土の改善の一環で、無駄な社内業務の廃止案を社員に募っている。
「社員にはお客さまに向き合うなど、本当にやらなくちゃいけないことにフォーカスしてもらいたい。約600件の案が寄せられ、当座は160件を改善する」
―米グーグルとの提携を発表した。狙いは。
「グーグルは(社内で安心して意見を言える)心理的安全性が高い会社と言われている。人事交流で良いカルチャーを吸収したい。お客さまの好みや属性に応じて最適な商品提案をするマーケティングも一緒に進めたい」
―通信アプリ大手のLINE(ライン)と組んだネット銀行の開業予定は。
「システム開発を少し慎重にやる必要があり(開業を)延ばしているが、本年度中にはやる」
きはら・まさひろ 一橋大卒。1989年日本興業銀行(現みずほフィナンシャルグループ)。みずほ証券常務執行役員などを経て、2021年7月からみずほフィナンシャルグループ執行役。22年2月1日就任。弟は木原誠二官房副長官。
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