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3月25日、インドは全土を封鎖した。世界最大規模のロックダウンだ。同日、筆者は中央政府の役人と面談の約束があったため、朝から外出した。自宅から政府庁舎までは車で15分ほど。その間に、早くも警察が設けた数カ所の検問に引っ掛かった。昼、庁舎から帰る頃には検問での取り締まりは一層厳しくなっていた。「よく出かけることができた」と思うほどインドは素早く、徹底した封鎖体制を敷いていた。
封鎖の取り組みに限らないが、インドでは中央政府がまず大まかな指示を出し、細かい指示や決め事は州政府に委ねられる。具体的に実行していくのは、さらに小さい組織、日本で言えば県にあたるディストリクトになる。それぞれの組織が短期間で緊急事態に対処していく中では、当然のことながら混乱も起きた。たとえばフードデリバリーを許可する州もあれば、そうでない州もあった。野菜のサプライチェーンに携わる人たちや、必需品の生産・供給に携わる人たちが警察から暴行を受けてしまったこともあった。事業許可を出す州やディストリクトと粘り強く折衝し、いち早くサービスを再開できた企業や店舗がある一方で、許可を受けられず苦しんでいる企業、店舗も多い。
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デリバリーサービスは封鎖下の生活には欠かせなくなった。配達員のバイクの前面には生活必需品の配送サービスであることを示す紙が貼られている。
警察が暴行するシーンは日本を含む世界で面白おかしく報じられてしまった。一般市民の耳をつかんでうさぎ跳びのような行動をさせる光景も報道されている。こうした行為が一部であったことは事実だが、あくまで例外的なものだ。政府が体罰によってルールを守らせようとしたわけではない。ちなみにインドで耳をつかむというのは謝罪とか反省を表す。ルールを守らなかったことを反省させるポーズを警察が取らせたのだろう。
こうした混乱はあったものの、14億人もの人口を抱えるインドが厳格な封鎖を短期間で実現できたことは注目に値すると思う。中央政府に加え、地方政府の動きも迅速だった。この国には多種多様な人々が住んでいる。人口2000万人を超える大都市から農村まで、そして中央から地方まで、さらに治安部隊の末端まで意識を統一し、最低限の生活インフラを維持しながら封鎖を徹底していく。その取り組みは容易ならざるものだ。中央がいちいち細かいところまで詰めて封鎖の指示を出していたら、ここまで迅速な封鎖は実現しなかっただろう。
残念ながら、今はまだ新型コロナウイルスの感染を抑制できていない。ただ封鎖に手間取っていたら事態はもっと悪化していたかもしれない。病がまん延してからでは遅い。脆弱なインドの医療インフラでは太刀打ちができない。スピード感をもって封鎖に取り組むためには、ある程度厳しい処罰を前提にしても規律を維持しなければならなかった。強制力を持った命令ではなく、「自粛」に頼ることができる日本は、ある意味恵まれていると言える。
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April 28, 2020 at 03:11AM
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新型コロナ対応でインドが見せたスピード感 - 日経ビジネス電子版
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