河川狭窄部、東北にも多数 九州豪雨、自分事として情報取得を
九州地方を襲った記録的豪雨は被害の範囲を本州まで広げ、日本列島は再び深刻な水害と向き合う日々が続く。昨秋の台風19号(東日本台風)豪雨で多くの犠牲を払った私たちは、改めて何が問われているのか。河川防災に詳しい田中仁東北大大学院教授(水工学)に聞いた。
(治水のゆくえ取材班)
九州の水害は台風19号豪雨と同様、大量の雨で河川が計画高水位(想定最高水位)を超え、本流が支流に逆流するバックウオーター現象も見られたとされる。梅雨前線や気圧配置により長野県や岐阜県などにも被害が拡大したが、ああした雨は日本のどこで降ってもおかしくない。
甚大な氾濫被害が生じた熊本県の球磨川は、盆地の下端部から川幅の狭い狭窄(きょうさく)部がある山間へと流れていくのが特徴だ。東北地方の河川にも似た流域が多数ある。特に一関市周辺の北上川は、狭窄部の直前で支流の磐井川と合流する点で球磨川の地形と酷似する。
北上川からのバックウオーターなどで一関市は1947年のカスリン、48年のアイオン両台風の際に大きな被害が出た。東日本大震災で津波が宮城、岩手県境まで約50キロ遡上(そじょう)したように下流の勾配が非常に緩やかで、洪水時に水が流下しにくい。
球磨川と共に日本三大急流の一つとされる最上川も盆地と狭窄部が連続し、似ている。洪水時の水位は狭窄部で上がり、盆地で下がる。両河川ともダムや遊水地を設けるなどの対策で深刻な被害を防いでいる。
球磨川の氾濫では特別養護老人ホームの入所者が多数犠牲となった。岩手県岩泉町の小本川の氾濫で高齢者施設の入所者9人が亡くなった2016年の台風10号豪雨が記憶に新しいが、三陸沿岸に続く小さな河川は山地を流れ、あふれた水が広がる平野がないのが特徴。その結果、狭い渓谷部で水位が急激に上がるという、球磨川とは異なるメカニズムだった。
河川の治水計画は過去の洪水を基に氾濫につながる雨量の発生確率を設定し、河川で安全に流せる流量を導いて堤防の高さなどを決めてきた。気候変動による異常な豪雨の頻発で治水安全度は低下しており、計画の見直しが必要になってきている。
計画レベルまでは堤防などハード整備で対応できるが、計画を上回る超過洪水には流域全体で、ハード面だけでなく避難体制の強化や土地利用規制などのソフト面も含めた総合的な対策を考えなければならない。国は今年に入り、こうした「流域治水」への転換を打ち出しており、昨年の台風19号豪雨で大きな被害が出た阿武隈川や吉田川(宮城県)の両水系では既に流域治水に基づく治水計画が進められている。
流域治水は行政や企業だけでなく、住民も重要な担い手となる。自分が住んでいる場所の特徴や地域の河川の整備状況を知り、近年顕著な雨の降り方の変化により洪水は起こりうるという意識が必要だ。
雨量や水位、ハザードマップなどの情報がさまざまな形で発信されており、自分事として情報を得る努力も求められる。予報段階から避難までの自分の行動計画を時系列で示す「マイ・タイムライン」もできるだけ作ってほしい。予期しない豪雨に遭遇した時に、自分がどう行動すべきかを日頃から考えておくことが命を守ることにつながる。
たなか・ひとし 東北大大学院工学研究科博士課程修了。アジア工科大(タイ)助教授などを経て、1996年から現職。河川防災に関する国の各種審議会委員などを歴任。昨年の台風19号では東北学術合同調査団の団長を務めた。63歳。群馬県出身。
2020年07月11日土曜日
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July 13, 2020 at 10:13AM
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