ジョー・バイデン氏が米国の新大統領に就任した。1月6日にトランプ前大統領の支持者の一部が連邦議会に乗り込み、暴徒化したことを受け、20日の就任式典は2万人を超える兵士らが警備に当たる物々しい空気に包まれた。その中、行われたバイデン新大統領の就任演説。超大国を今後4年率いるバイデン新大統領は何を語り、何を語らなかったのか。これまでの大統領の就任演説と比べて、どのような点が特徴的だったのか。アメリカ研究が専門の慶應義塾大学SFC教授、渡辺靖氏に聞いた。
同じセリフも“違う響き”
――国民の団結を呼び掛ける言葉が多かった印象があります。 オバマさんも就任時には似たようなことは言っていました。「民主党だとか共和党だとか関係ないんだ」と。また、ディビジョン(分断)じゃなくてユニティー(団結)だ、とか途中はなんかオバマさんそっくりだな、と思ったほどです。 実は、トランプ前大統領も就任演説に関して言えば国民の協力とか団結ということは言っています。言ってみれば、最近の大統領の就任演説でこのような内容に触れるのは“お約束”になっているのです。ただ、同じセリフでも切実に聞こえるくらい、アメリカ社会が特にこの1年くらいで色んな事があったということの裏返しなのかなと思いますね。 ――「色んな事」とは何を指しますか? コロナもそうですし、(警官に取り押さえられて死亡した黒人男性の)ジョージ・フロイドさんの事件もそうです。そして選挙に至るプロセス、あるいはこの選挙結果をめぐって混乱があって、極めつけに民主主義の象徴である議会が襲撃されるということがありました。分断や対立が露わになり、より深まったのです。 南北戦争を例えにして話すような風潮すら出てきました。それくらい、かなり分断が深刻な状況にあるということです。全体としてこの感情的な対立が深まっているなかで、「いったん少し冷静になろうよ」、「お互いを敵視するのではなく、もう少し敬意を持って接しようよ」と、そういうことを色んな形でアピールしたかったのではないでしょうか。みんなでまず黙とうを捧げる、というのもその1つと位置付けられるように思います。
からの記事と詳細 ( 米バイデン新大統領 就任演説で「語ったこと」「語らなかったこと」 渡辺靖・慶應大教授に聞く(THE PAGE) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース )
https://ift.tt/39VT4hn
No comments:
Post a Comment