「うれしかったけど不安な感じも…」
とちぎ花センターの温室担当・永島安紀さんは休み明けの22日、5年ぶりにトビカズラ(マメ科)の花が2、3輪咲いているのを発見しました。 「1週間くらい前につぼみを発見したとき、(つぼみを見るのが)あまりに久しぶりだったので、その時点ですごくびっくりしていました」 実際に開花したものを見ると、「うれしかったんですが、何か起こるような不安な感じも…」。 というのもこのトビカズラ、仏教の世界で3000年に一度だけ花が咲くといわれる「優曇華(うどんげ)」とも言われ、「開花すると国家的変事が起きる」という言い伝えもあるほど開花が珍しいとされる花なのだそうです。 永島さんは「ダークな色で、なおかつ、かたい。臭いも独特で不思議な花なんです」とトビカズラの印象を語ります。
自生確認は国内3箇所ほど
とちぎ花センターでトビカズラの栽培を始めたのは7~8年前。当時から鉢植えの1本のみを栽培しており、今回を含めて3回ほど開花しているといいます。 「珍しいものだし、花が下の方で咲くので、土に植えてしまうとお客さんに見えづらい」という事情から、地植えはしていないそうです。 一方、国内では長崎や熊本など数箇所で自生しているのが確認されています。 それらの中には毎年のように花をつけているものもあるそう。永島さんは「場所が合えば咲くのでは」と話します。 とちぎ花センターのトビカズラは4月上旬までが見頃だということです。
「珍しい=なかなか咲かない」ではなく…
東邦大学薬用植物園の園芸技術員・川上剛さんによると、トビカズラは分布も狭く、個体数が少ないためいまだ良く調べられていないそう。 「トビカズラの開花が珍しいと言われるのは、『なかなか咲かない』からではなく、そもそも植物個体数が少なく見る機会が少ないためと思われます」 「また、数年に一度しか咲かないとか言われており、トビカズラの花が咲くと飢饉が来るとか言われていますが、それは花の色からくるイメージだと思われます」 東邦大学薬草園でも栽培をしているトビカズラですが、「栽培してみると、とても丈夫で毎年花を咲かせてくれます」と川上さん。「現在鉢植えの樹があり、花芽を持っています」。 東邦大学薬草園では早ければ来週あたり、咲きそうだということです。
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