北京冬季五輪スキージャンプは6日、男子個人ノーマルヒル(ヒルサイズ=HS106メートル)が行われ、小林
美しく、無駄のない唯一無二のジャンプで小林陵が空に舞った。日本勢では船木和喜以来となる24年ぶりの金メダルに「2本ともいいジャンプがそろえられて、すごくうれしい」。感情を爆発させ、無邪気に喜んだ。
◆レジェンド葛西紀明が絶賛「誰にもまねできないフォーム」
試合直前の試技は回避し、臨んだ1回目。スタートゲートに腰掛ける引き締まった表情は、どこか雰囲気を楽しんでいるように映った。ほぼ無風の中で104.5メートルまで伸ばし、着地後は両拳を握り締める。1位に立つと、2回目も危なげない飛躍。得点が表示される前に駆けつけた兄の潤志郎と抱き合った。
25歳の強さの秘密は、何か。所属先の選手兼任監督である葛西紀明は「踏み切り」と説く。「スリップしないでパワーを伝えることができる。体全身のバネというか、ギューンと前に伸びていく感じが他の選手とは違う」。特筆すべきはさらにそこから。空中に飛び出してから飛型が完成するまでのスピードだ。
日本代表の長谷部大貴トレーナーによれば、小林陵は助走姿勢で背筋が真っすぐに伸びているという。長谷部さんいわく「天性の骨格」。猫のようにぐっと背中を縮めて飛び立つ選手も多いが、小林陵の姿勢ならば角度を付けて踏み切るだけでV字の飛型が出来上がる。ロスが最小限に抑えられたフォームは、葛西が「誰にもまねできない」と称賛するほど。不利な追い風でも飛距離を伸ばせる。
◆W杯開幕直後のコロナ隔離にも泰然
今季は夏場に1人で欧州へと渡り、新型コロナウイルス禍で来日できなかった所属先のオーストリア人コーチにつきっきりで指導を受けた。国境をまたいで異なるジャンプ台を飛ぶことで「常に新鮮な気持ちでトレーニングできた」と小林陵。武者修行によって対応力も一段と磨かれた。
W杯開幕直後にコロナの陽性判定が出て、10日間の隔離生活を送ったり、楽しみにしていた札幌大会が中止となって一時帰国がかなわなくなったり。アクシデントはあったが、いつも泰然としていた。表彰式後の取材ゾーン。五輪には魔物がいるとよく言われると問われて、答えた。
「僕が魔物でした」。金メダルにふさわしいモンスター級の飛躍だった。(張家口・中川耕平)
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