<雪と氷と>
右足を前にした逆スタンスから斜め軸で縦2回転、横3回転半。15日に行われた、北京冬季五輪スノーボード女子ビッグエア決勝で鬼塚雅(星野リゾート)は「キャブダブルコーク1260」を跳んだ。高さや板をつかむグラブで「スタイル」と呼ばれる独創性を出す選手が多い中、23歳にとってはこの大技こそが自らの存在証明だった。
前回の平昌五輪では目標にしていた表彰台には遠く及ばず、「オリンピック、好きじゃないかも」と涙した。もう一度、世界のトップで戦うため、過去の自分を「リセット」した。
プロとなった8歳のころから使い続けていた大手メーカーの板から変更。くびれ部分が数ミリ細いものにした。「これがだめだったら、もう五輪は目指さなくてもいい」。158センチの身長に対して「小さい」という22.5センチの両足では、これまでは板をしっかりと踏み込めないでいた。スピードに乗れなかったことが平昌での敗因。それが新たな「相棒」によって改善された。
体重をしっかり掛けられるようになったことで板は走り、エア(空中技)に入るまでの加速を十分に得られるようになった。昨季、女子では初めて「キャブダブルコーク1260」を成功。今大会は「あのころ(4年前)とは全く別の自分」で臨んでいた。
転倒を重ね、11位。半回転減らしてでも完成度の高い横3回転技を決めれば、おそらくは表彰台争いに絡めただろう。でも、そうしないとも思っていた。昨年夏、なぜリスクを取るのかと聞くと「それが私だから」と話していたから。勇敢なトライだった。(中川耕平)
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