京の漬物店が、オリジナルの高級食パンを開発――。すぐき、しば漬け、千枚漬けなど、京都の漬物といえば全国に知られる逸品が数知れない。なのに、高級食パン。これ、無謀な冒険でも何でもなく、理由があるのだ。
1940(昭和15)年創業の「京つけもの西利」。京都市下京区の西本願寺前に本店を構え、千枚漬けやしば漬け、すぐきなど京の伝統的な漬物をはじめ、さまざまな漬物を取り扱っている。
その西利が取り扱うのが「AMACO(あまこう)」ブランドの「甘麹(こうじ)熟成食パン」。焼き上がりから数日たっても、ふわふわ感やもちもち感が続くといい、同社の担当者も「一度食べると、他の食パンが食べられなくなる」と太鼓判を押す。
「AMACO」とは、米と麹で作った「甘麹」を、漬物に含まれる「ラブレ乳酸菌」で更に発酵させた「乳酸発酵甘麹」。同社が独自に開発したもので、漬物製造で培った発酵の技術が使われている。このAMACOを生クリームの代わりに使っているのが、甘麹熟成食パン。2020年8月に発売すると、瞬く間に人気を集めた。
漬物のみならず、高級食パンなど多様な商品を取り扱う根底にあるのは、同社の「漬物をおいしく食べてもらいたい」という思いだ。京の漬物といえば地元だけでなく、多くの観光客に愛されてきたが、新型コロナウイルスの感染拡大で状況は一変。同社の売り上げも、コロナ禍以前より大幅に落ち込むなど大きな打撃を受けた。
コロナ禍で観光の在り方が変化する中、「感染拡大で、食べることも特別な体験になった。観光客だけではなく、地元の人にも利用してもらいたい」と商品開発に着手。甘麹熟成食パンや、AMACOを使ったスイーツなどを生み出した。
21年11月には、京都市下京区の西本願寺前にある本店を改装オープン。コロナ禍前からの改装計画だったが、地下1階を改装してパン工房を新設したほか、2階には、AMACOを使用したドリンクやスイーツを楽しめる「西利キッチン」を設けた。イベントスペースも併設し、ぬか漬け教室などのワークショップも開催している。
今後は漬物の発酵技術を生かし、パンやスープなど食卓全体を提案することを目指しているという。同社の担当者は「パンやスイーツで西利を知った人には、漬物の良さを知ってほしいし、漬物しか知らなかった人には、それ以外の商品を良いなと思ってもらいたい。漬物のことを、もっと楽しんでもらえたら」と意気込みを語る。
甘麹熟成食パンは1斤756円。同社のオンラインショップでも購入できる。問い合わせは同社(0120・2・81812)。【福富智】
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