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Thursday, July 2, 2020

新型コロナ規制緩和 急いては事をし損じる - 読売新聞

緩めたり締めたり 微調整が大切なのに……

新型コロナ規制緩和 急いては事をし損じる

英ロンドンで6月15日、再開した老舗百貨店ハロッズを訪れる買い物客=広瀬誠撮影

 急(せ)いては事をし損じる、過ぎたるは及ばざるが如(ごと)し、逃げるは恥だが役に立つ……。最後のは関係ないですが(再放送、面白いねー。録画しておいて、朝のジョギング後のストレッチ・筋トレしながら楽しく見てます)、最近は国内外での「緩み」のスピード加速がヤバイ状態になっています。

 前回 https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20200528-OYTET50009/?catname=column_iwaken申し上げたように、新型コロナウイルスとの対峙(たいじ)は、「緩めたり、締めたり」の微調整にあります。慌てて緩めすぎてしまうと、そのバックラッシュがきつくて、また厳しい自粛を強いられてしまいかねません。

 ヨーロッパではロックダウンによる患者の減少効果が顕著で、どの国も街の活動の制限解除に向かっています。その一方で、例えば ドイツのノルトライン・ウェストファーレン州ではCOVID-19の集団感染が発生して、再度ロックダウンを行わざるを得なくなってしまいましたhttps://www.cnn.co.jp/world/35155846.html

「ロックダウンは意味がない」はデマ

 そうそう、最近「ロックダウンなんて意味がない」というデマを飛ばす人も増えてきました。

 そもそも、このコロナの問題は「デマを飛ばす人たち」の増殖問題でもあります。もちろん、新しいウイルスによる初体験のパンデミックですから、「未知の領域」は多々あります。多くは証明されていない「学説」の範囲内であり、それが「学説」「仮説」であると明言されている限り、それは決して「デマ」ではありません。

しかし、確信犯として根拠のないデータを「これが正解だ」と断言するのはデマです。もっと質(たち)が悪いのは、根拠のないデータを、自分自身で「正しいデータ」と確信したまま流されるデマですが。悪意の誤謬(ごびゅう)よりも、善意の誤謬のほうが恐ろしい所以(ゆえん)です。

 で、ロックダウンですが、めちゃめちゃ効果あります。めちゃめちゃ効果あります(関西人風に2度繰り返してみました)。英国、スペイン、フランス、イタリアを対象とした研究では、ロックダウン以降感染が激減していることが示されています(Flaxman S, Mishra S, Gandy A, Unwin HJT, Mellan TA, Coupland H, et al. Estimating the effects of non-pharmaceutical interventions on COVID-19 in Europe. Nature. 2020 Jun 8;1‐8. https://https://ift.tt/2NQAOeCリンクに飛んで図1(Fig.1)の左側を見ていただければ、ロックダウンで感染が激しく減っていることが一目瞭然で分かります。

カギは、どういう状況なら発動するか

 感染症の流行を止める一番手っ取り早い方法は、感染経路の遮断です。ロックダウンの要諦は、対象地域の内外での人の出入りと、対象地域内での外出を規制することです。この二つの条件を満たせば感染経路は激減しますから、感染症も減る。シンプルな理屈です。そして事実です。だから、「ロックダウンは感染を減らさない」という主張は「デマ」と判断して構いません。

 が、ロックダウンはおいそれと取れる手段ではありません。その副作用が大きすぎるためです。経済活動は滞り、教育活動は滞り、多くのアクティビティーがキャンセル、延期されます。失うものが大きすぎるため、「ロックダウン以外に感染を抑えられないとき」以外は、取らないほうがよい、かなり大きな選択です。ウルトラダイナマイトみたいなものです(ぼくは戦隊モノや仮面ライダーよりもウルトラマンが少年期の基盤を作っていたことが自粛中のYouTube視聴で判明しました。どうでもいいことですが)。

 ですから、ロックダウンは効果あるかないか、はすでに決着した議論です。問題は「どういうときにロックダウンが選択されるか」であり、「どうすればロックダウンを回避したまま感染リスクを最小限にできるか(Mitigation)」であります。

 英国ではビーチに50万もの人が詰めかけ、リバプールでは30年ぶりのサッカー・プレミアリーグ優勝で市民がアンフィールドに集合し(気持ちは分かる、、、分かる、けど)、ゆるゆるムードに拍車がかかり、ジョンソン首相が警告を発していますhttps://www.bbc.com/news/uk-53190209

 アメリカでは再選を目指すトランプ大統領が、テキサスやアリゾナで経済活動をむりやり再開させ、感染者が激増していますhttps://www.nbcnews.com/news/us-news/coronavirus-hospitalizations-surge-arizona-texas-n1231945。このままでは世界のあちこちで「第2波」が発生してしまいます。

適切な規制こそ経済も活性化させる

 日本が2、3月に成功したクラスター追跡は、街のロックダウンを回避したままで新型コロナ対策を可能にする、非常に効率の良い対応策です。しかし、患者が増えすぎると「後ろから追っかける」クラスター追跡は効果を失い、「先回りする」ロックダウン(あるいはその亜型)を余儀なくされます。クラスターのレベルで感染を抑え込むには、ある程度の市民の活動自粛が欠かせません。そのことは欧米のあちこちのデータが示しているとおりです。

 急いては事をし損じる。経済活動を再開させるのは悪くない。が、経済活動を急激に低下させるロックダウンを余儀なくされる事態はなんとしても避けたい。このジレンマに応えるには、「徐々にやる」「慌ててやらない」ことが大事です。

 やはり危惧しているのは東京です。毎日感染者が複数見つかっていますが、現段階では比較的クラスター捕捉の範囲内なので、それほど大きな問題にはなっていません。が、このまま街の活動がなし崩し的に、ズルズルと、急速に拡大していけば、その感染拡大は「後ろから追いつけない」レベルにまで拡大していきます。

 3月に起きたことを思い出しましょう。同じ間違いは繰り返さない。リスクマネジメントの要諦なのです。そして、同じ間違いを繰り返さなければ、第2波対策は「第1波」よりもずっとましにできるはずですし、場合によっては第2波そのものも起きないままにすることすら不可能ではありません。そうすれば、経済活動もより円滑に行うことができます。

 多くの方が誤解していますが、新型コロナ対策は経済活動の障壁ではありません。逆です。健全な新型コロナ対策こそが、健全な経済活動復活のための条件なのです。そのことは内外のデータが如実に示しているのです。(岩田健太郎 感染症内科医)

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July 02, 2020 at 02:43PM
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