東京・池袋で2019年4月に起きた暴走事故で、東京地裁は9月2日、乗用車を運転していた旧通産省工業技術院の元院長、飯塚幸三被告(90)に判決を言い渡す。「飯塚幸三被告人へ」。事故で妻真菜さん(当時31歳)と長女莉子ちゃん(同3歳)を失った松永拓也さん(35)は今月5日、自身のブログに約1100文字のメッセージをしたためた。ブログ全文は次の通り。
飯塚幸三被告人へ
飯塚幸三被告人が裁判において「松永さんのブログを見ている」と言っていたので、9月2日の判決を前に私の願いを書きます。
あなたの法律上の無罪を主張する権利は尊重しています。正直、私たちはそれにずっと苦しめられてきましたが、罪と罰から逃れようとする事も一定の理解はします。
ですから、このブログは怒りを込めた命令のような意味ではなく、あくまで私の願いを綴(つづ)るものです。
一審の判決が出たら、もう辞めにしませんか。
こんな何も生み出さない無益な争い、もう辞めませんか。
妻が私に教えてくれた、他者に対する愛を、私に残された人生で実践していきたいのです。
そして、妻と娘が愛してくれたままの自分らしくありたいのです。
そのために、私はあなたと争い続けるためにエネルギーをこれ以上使いたくないのです。
そんな事より、交通事故をひとつでも無くすための活動に全力を注ぎたいのです。
私にこの先何年も、人を恨み続ける道を歩ませないで欲しい。2人の愛してくれた、私らしい私でいさせて欲しいのです。
あなたも人の子であるならば、私の「愛しているからこそ、2人の命を無駄にしたくない」という気持ち、少しだけ想像してみてほしいです。
愛する妻と子供を奪われ、あなたの主張にもかなり苦しめられました。死ぬ事も考えましたし、壊れそうになる精神と戦いながら生きてきました。
あなたが故意で命を奪ったわけではない事は分かっています。
ですが、これだけの客観的証拠が揃(そろ)っているのです。もうこれ以上争っても、お互いに苦しいだけではないでしょうか。
私も家族を愛してます。ですから、あなたもあなたのご家族の助言や想(おも)いにも、耳を傾けてみてもらえませんか。
苦しんでるのはあなただけではなく、事故を起こしてないご家族にも、相当な苦しみがあるはずです。
私は被害者遺族ではありますが、同じ事故の当事者として。そして、愛する家族を持つ一人として、どうしてもあなたに伝えたかったです。
あなたは裁判で「家族には迷惑をかけたくない」と言っていましたが、この2年、果たしてそうでしたか?
愛の気持ちを持って、ご家族の事を是非改めて考えてみてください。
あなたと私で同じ視点に立つ事は決して出来ません。人間であれば皆そうだと思います。
ただ、社会に対して争いの感情をばら撒(ま)くのはもう辞めませんか。
「どうすればこういった事故を無くせるのか」という視点を共に持ちませんか。その為(ため)にできる事は、これだけの証拠を前にして「車のせいだ」と言い続けることでは決してないはずです。
それが、あなたが真菜と莉子に出来るせめてもの弔いであり、残された人生で、愛を持って出来る事のひとつなのではないでしょうか。
からの記事と詳細 ( 「愛を持ってご家族の事を考えてみてください」松永さんブログ全文 - 毎日新聞 - 毎日新聞 )
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