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Monday, August 30, 2021

NMB48小嶋花梨「キャプテンだから見える景色」 | 東洋経済education×ICT - 東洋経済オンライン

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人生を懸けて指導してくれた恩師

――小嶋さんは学生時代、どんなことに夢中になっていたのですか?

中学生の時にバトントワリングを習っていました。当時の先生がディズニーランドのパレードでバトンをしていたので、自分も「子どもを笑顔にする仕事がしたい」とずっと言っていました。

「花梨がバトンを辞めたら自分も辞める」というくらい先生は私を大切に育ててくれて。本当に辞めたときに、先生も辞めて、すぐに結婚されたんです。それだけ人生を懸けて指導してくれたのがうれしかった。「笑顔で人前に出て踊る」ことが、自分のいちばんの武器だということに気づかせてくれた、忘れられない恩師です。

――そんな小嶋さんが、なぜアイドルを目指したのですか?

たまたまテレビで見た山本彩さんにずっと憧れていました。日本のアイドルは、NMB48しか見たことがなかったんです。それで高校2年生の時にNMB48のオーディションを受けました。

その時期って、「将来どうしたいか?」を聞かれることが多かったりするじゃないですか。何も目指すものがなったので、オーディションに受かった時は、こういう運命だったと感じました。言葉にするのは難しいけど、落ちる気がしなかったんです。

小嶋花梨(こじま・かりん)
2016年にNMB48の5期研究生として加入し、17年に正規メンバーに昇格を果たす。18年、初代キャプテンだった山本彩より、キャプテンを引き継いで、2代目キャプテンとなる。1999年7月16日生まれ。22歳。埼玉県出身

――それからアイドル生活が始まり、憧れの山本彩さんが卒業するタイミングで2代目のNMB48のキャプテンに指名されました。

NMB48に加入してからは、どこまで頑張れるかで頭がいっぱいでした。選抜に入ることを目標として、ダンスやMCを必死に練習していました。そんな日々が3年経過した頃、2代目キャプテンに指名されました。長期的なビジョンでメンバー目線、またファン目線からもグループを考えられることに期待してくれたようです。彩さんも「立場が人を変えてくれるから」と言ってくれて、見える景色がガラッと変わりました。覚悟が生まれたというか、個人よりもグループのことを考える時間が増えました。

「好きにやってごらん」という環境

――小嶋さんから見てNMB48がほかのアイドルグループにない強みやカラーを挙げるとしたら?

大阪のノリでくだらない、しょうもないことを全力でやっちゃうとこです(笑)。普通ではありえないことも誰一人恥ずかしがらずノリノリでやっちゃいます。ファンもそれを否定しないで、NMBらしいなと優しく見守り、楽しんでくれている関係が温かくて誇りですね。

――キャプテンとしてどんな立ち振る舞いをしているのですか?

孤立しないキャプテンです。メンバーに気づかされたのですが、「ずっと周りに人がいるね」と。そう言われたときに、自分はみんなに囲まれてやっているキャプテンだと感じました。最初キャプテンは、一歩引いているか、あえて距離を取るとか、そういうイメージが自分にありました。彩さんはどちらかというとそういうタイプで、気軽にみんなが話しかけるというより、「格好いい」「完璧な背中」を見せて、そのカリスマ性に周りがついていきました。

自分は完璧なキャプテンを演じず、メンバーといろいろなコミュニケーションを取ったりしながら距離の近さを活力にしているキャプテンだと思います。

――キャプテンに就任したとき、先輩メンバーも多くやりづらかった面もあったかと思いますが、どんなことを心がけていたのですか?

キャプテンとしての勉強をする時間もなく抜擢されて、「何を言ったらいいんだろう」と思っている時期がありました。自分の考えやアイデアを遠慮して発言できないことがすごくしんどかったんです。

でも周りの先輩が「好きにやってごらん」という環境をつくってくれたことで視野が一気に広がりました。「キャプテンが思うならそうしよう」と、私の意見を否定しないで認めてくれる環境が生まれ、発言にも、より責任感が芽生えました。自分は褒められたり、認めてもらったりしたことが自信につながった。だからこそ、「今の行動はすてきだね」と小さなことでもメンバーに伝えることを大事にしています。

役割を与えたら、自走して改善できるチームが生まれた

――新型コロナウイルスの感染拡大によってライブやイベントが次々と中止になりました。コロナ禍におけるアイドルの役割をどう考えますか?

「会えるアイドル」というモットーで活動していたのですが、それができなくなってしまって、自分たちは何をすればいいのかわからなくなりました。みんなどこに向かうのか迷っている状態が長く続いていました。NMBは「何かやらなきゃ」という気持ちが強く、YouTubeの配信を増やすなどして、ファンを飽きさせる状態をつくってはいけないとずっと思っていました。止まらずにゆっくりでもいいから何かを進めていきたい。アイドルとしてファンに元気を届けないといけない、それが自分たちの役割です。

――この1年で新たに挑戦して、グループとして成長を感じられたことはありましたか?

NMB48のさらなる活性化のために新プロジェクト「NAMBATTLE ~戦わなNMBちゃうやろっ!~」で6つのグループをつくり、競わせるということを3カ月やりました。6チームからキャプテンがそれぞれ6人選出されたのですが、面白かったのは、キャプテンという役割が与えられた瞬間に、6人が自発的に考えるようになったことです。それまではみんな「選抜に入りたい」「どうすれば自分の人気が出るか」ということを気にしていたんですが、チームを優勝させるためには、どうすればいいのかを話し合うようになりました。周りを見渡せるメンバーが増えて、NMB48としての熱さがさらに増した感じがします。

――若い世代のメンバーが力を発揮できるように心がけていることはありますか?

ここでアクションしたら面白いというタイミングでも、先輩がいると気を使ってタイミングを逃したりすることがあります。だから「何でもやっていい」という空気感をつくり出してあげないと、後輩のよさが引き出せない。そこは自分が積極的に声をかけるようにしています。

先日、先輩がいない状態で下の子たちの本気のパフォーマンスを初めて見たんですが、すごくよくて驚きました。こんなにできるんだと可能性を感じました。やっぱり本領を発揮できていないというか、抑えている部分はあるので、持っている力を引き出していけるような声かけをもっとやらなくてはいけないと痛感しましたね。

――小嶋さんは、年齢的に大学の新卒の世代です。同年代にエールをいただけますか。

キャプテンやリーダーという言葉に重みを感じてしまい、「絶対やりたくない」「自分には向いてない」という気持ちから入ってしまう人もいると思います。でも、しんどいだけじゃなくてキャプテンだから見える景色もあって。私はメンバー、グループと向き合った時間の分だけ、成長していると実感できたり、何か小さなことでも達成感を得られたりしたんです。プレッシャーから逃げずに挑戦した果てに出会える新しい自分をイメージしながら挑戦してほしいですね。

(企画・文:池田鉄平、撮影:今井康一)

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