未婚男性は長生きしない?
厚生労働省が7月30日、簡易生命表で2020年の日本人の平均寿命を発表。女性が87.74歳、男性が81.64歳となり、共に過去最高を更新しました。この値は前年に比べ、女性が0.30歳、男性が0.22歳延伸。9年連続でプラスという結果でした。 こうした日本人の寿命が、実は「婚姻関係の有無」で整理すると異なっているということは、一部では知られた話です。より具体的に言えば、「未婚男性は長生きしない」という“傾向”があります。 厚生労働省が発表する人口動態調査には「配偶関係別」の死亡数という項目※があります。読んで字のごとく、結婚している人(有配偶)、いない人(未婚)、死別した人、離別した人ごとに分類した死亡数のことです。 ※15歳以上の死亡数,年齢(5歳階級)・性・配偶関係別 そして、前述の“傾向”は、この項目や、それを裏付ける研究をもとに度々メディアに取り上げられ、時に「だから結婚した方が……」というように、危機感を煽って伝えられることがあります。 ここで、9月10日に発表された令和2年版(2020年の集計)の人口動態調査の結果を見てみましょう。これまでの“傾向”と一致し、男性は未婚者が最も死亡ピーク年齢が早く、中央値(累積%=50)が含まれる階級は65 - 69歳。比例配分により死亡年齢の中央値を求めると67.20歳となります。 一方、有配偶男性の死亡年齢の中央値を同様に計算すると81.64歳。比較すると14歳の差があります。なお、死別は88.44歳、離別は72.87歳です。こうしたデータが未婚男性は長生きしないとされるゆえんです。 ちなみに、女性ではこれが逆転し、未婚者の死亡年齢の中央値は81.64歳、有配偶者が78.65歳となります。死別は91.00歳、離別は80.91歳です。 このように「未婚男性は長生きしない」理由を生活習慣(特に食生活)の乱れや、収入などの社会経済状況に求める言説や、それを裏付ける研究も多くあります。 ただし、少なくとも上記の人口動態調査の結果について言えば、このデータは「未婚だから長生きしなかった」という因果関係を示すものではないことに注意が必要です。そもそも婚姻自体が寿命に直結するとは考えにくく、その間に婚姻に関係するさまざまな生活の要素が交絡因子として存在することは明らかです。 だからこそ、これらはあくまでデータであり、“日本人”と一言で括った中にいる多様な家族の形を反映するものではないこと、ましてや「結婚した方が……」という根拠にするべきものではないことを、あらためて認識する必要があります。
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