最高裁判事の日常
最高裁判所の裁判官は、最高裁長官と14名の最高裁判事の15名で構成されている。 全国約3000人の裁判官の頂点に君臨する彼らのうち、内部昇格ともいうべき裁判官からの抜擢が6名。他省庁からの登用が検察官2名、外交官と行政官僚がそれぞれ1名。弁護士会推薦の弁護士が4名、そして学者から1名を起用している。 その主な仕事は、全国各地の高等裁判所や地方裁判所で出された様々な判決を統一解釈し、国の最終的な判断としての「最高裁判例」を確立させることにある。 裁判所の威信を保ち、司法への国民の信頼を高める責務を担っている彼らには、その役割にふさわしい名誉とともに、一般裁判官には及びもつかない処遇が与えられている。有能なスタッフに囲まれた快適な職務環境、安全で広々とした住環境、そして退官後の生活の安定を支えてくれる高額退職金などである。 「高位の法官」たちの日常は、判で押したように決まっている。 毎朝午前9時前、公用車で皇居の桜田壕に面した最高裁判所にほぼ同時に乗り付けるのである。花崗岩で意匠をこらした荘厳な建物の北玄関は、この時ばかりは喧噪に包まれるが、日中は時間が止まったかのような静謐の中にある。再び、喧噪がおとずれるのが午後5時過ぎ、彼らの退庁時間がやってきた時だ。重要な行事などが入っていなければ、最高裁長官と多くの最高裁判事はここからまっすぐ帰宅するという。 国有財産台帳で調べた限り、最高裁判事の官舎はいずれも都内の一等地にあり、一軒あたりの土地面積は平均1072㎡(324坪)。そしてその月額使用料は平均約10万円である。最高裁判事の月額給与約176万円(各種手当を含む)からすると、家賃負担比率はわずか5・7%程度だ。周辺の高級マンション(広さ80㎡)の賃貸料が月額70万円から100万円は下らないことからもわかるように、きわめて優遇された住環境が用意されているのである。 ただ、2011年に発生した東日本大震災に対する復興特別税の導入にあたり、格安家賃で入居できる国家公務員宿舎への批判が高まったことから、最高裁でも最高裁判事の官舎4戸を廃止。さらに3戸を廃止する方針だが、2018年現在、最高裁判事の入居者がひとりもいない11戸の広大な官舎を保有し続けている。 そして70歳での定年退官、もしくはそれ以前の依願退官によって最高裁を去る時、彼らには、「最高裁判所裁判官退職手当特例法」にもとづく手厚い退職金が支給される。裁判官から最高裁入りした最高裁長官や最高裁判事には、裁判官時代の退職金に加え最高裁長官及び同判事の退職金が上乗せされるため、最高裁長官の場合、平均在任期間5年で試算すると、退官時に受け取れる額は約1億100万円。平均在任期間7年の最高裁判事だと約9800万円となる。 また、弁護士などから任官した最高裁判事も、同じ退職規定が適用されるため、平均在任期間6年で試算すると手取り退職金は約2280万円となる。これは大企業に勤める社員が定年退職した際に支給される平均退職金1788万円(厚労省調査)を大幅に上回る額である。
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