ドラマ『それでも愛を誓いますか』(ABCテレビ・テレビ朝日系)の第6回目。結婚して8年セックスレス5年の純(松本まりか)は、ついに夫・武頼(池内博之)に近づいている彼の高校の同級生・沙織(酒井若菜)と対面する。 妻と愛人は会わないほうがいい。三角関係の三角は結ばないほうがいい。だが、男をはさんでの女性ふたり、どちらかが意図して会ってしまうこともある。 こういうケースでは多くの場合、愛人(このドラマの中では関係は持っていないが)のほうが緊張すると思われがちだが、年齢にもよるものの、実際には妻のほうがより神経を張り巡らせているものだ。自分の夫に近づいている女性に対して怒りと警戒心が強まって緊張を強いられるのだろう。
“それ”は本当に、夫が望んでいることなのか?
「私は武頼を支えてあげる義務がある。それが妻の務めだから」 そう力む純に対し、沙織は脱力した様子でこう言う。 「それってタケくんが望んでいることかな」「妻だから、夫だから、夫婦だから。そういうのが誰かを追い詰めているのかもしれませんよ」 とはいえ、シングルで息子を育てている沙織も、実は武頼を頼りにしている。誰かに寄りかからなければ生きていけない状態なのだ。 それにしても、「武頼を支えてあげる」という純の言い方がひっかかる。妻という立場にプライドをもっているように見せかけてはいるが、「あげる」とは上から目線だ。尽くしているようで、尽くすことそのものに恩着せがましさが垣間見える。 純は正社員になることを見越して、泊まりがけの研修に出かけることになる。その前の晩、夫に翌日の夕飯を作り置きする。誰に頼まれたわけでもなく、自ら作るのだ。それが妻の務めだから。そして武頼は翌晩、それをひとりで食べている。純から電話がかかってきて、「多かったら全部食べなくていい」と言われ、一度はタッパーの蓋を閉めるのだが思い直してまた箸を伸ばす。すべて食べる、それが夫の義務なのだろう。 夫妻ともに義務感に縛られ、関係が行き詰まっていく。それは現実にもよくあることなのではないだろうか。その象徴が、夫からのセックス拒否なのかもしれない。
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