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Friday, December 31, 2021

「私だから」の時代に生きる、よこすか人 | 横須賀 | タウンニュース - タウンニュース

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 近年、「男女共同参画」や「女性活躍」といった言葉を多く目にするようになりました。当事者目線で、その言葉と現実はどう映っているでしょうか? 市内で地域活動や事業に携わる女性たちに「私」の視点で語ってもらいました。

(聞き手/横須賀編集室 藤原朋子、本文敬称略)

*取材協力:クールクランウラガ

――現在、事業や団体での活動の中で、ご自身を含めて、女性を取り巻く状況をどのように感じていますか?

五本木 私たちの団体は、障害児のお母さんたちへの情報発信から始まり、今は一時保育や学童保育所のほか、市内企業から自宅などでできる仕事を請け負う「よこすかテレワーク」を運営しています。働き方のサポートをしているのですが、そこで感じるのが「母親がメインで子どもを育てる」という認識が前提となっているということ。これに加えて「預けて働くことに罪悪感を持っている」という母親も未だ少なくないように思います。仕事のスキルやキャリアを持っている女性が、子育てのために働くことを諦めなければならない、というのは社会にとってマイナス。働くこと・社会と関わっていくこと・役に立っているという実感は自己肯定感につながると思います。男性・女性という括りではなくて、その「人」がどういう環境で働くことができるのかを考えるのも大切だな、と痛感しています。

三田 2019年に学生団体を立ち上げて、今は一般社団法人に移行させました。活動のメインは、夢に向かって挑戦する人のサポートと地域が抱える課題へのアイデア創出。私自身は「女性だから何かが”できない”」と感じることはあまりありません。Z世代(10〜20代前半)と言われる年代ですが、周囲も男性・女性「だから」という強いこだわりはないように思います。

渡辺 私はFP(ファイナンシャル・プランナー)として家計相談のほか「起業ママ」の支援も行っています。やりたいことを仕事にしている人が増えており、起業は会社という枠にとらわれずに「子育て」と「働く」を両立させるための手段としての選択肢。ただ、別の視点でいうと、家庭・家事に影響のない働き方として(女性の側が)やりくりするため、という現状も垣間見えます。

「女性」の先入観なくしたい

 ――事業や活動の中で「女性だから」ということを意識する場面はありますか?

菊池 私は、複雑な家庭や厳しい環境にある20歳前後の女性を対象にした支援付きシェアハウス「ステップハウス アマヤドリ」を市内で運営しています。女性への「直接支援」に携わる団体なので、少し視点が違うかもしれませんが、性被害や望まない妊娠の相談も多く、「生物学的性別」ゆえの問題に直面しています。家出をしている女の子に売春目的で声をかけるという例も後を絶ちません。こうした関わりの中で「男だから・女だから」という価値観に苦しんでいる若者に多く出会います。

渡辺 士業は男性が多く、「女性だから」という先入観を持たれているように感じます。これに「対抗」するのは知識。仕事をするうえで、そういう「強さ」がなければと思ってしまっています。

五本木 テレワーク事業では当初、「ママたちの立ち上げたものだから」と受注の料金設定を低くしてしまっていました。これに対して「主婦だろうが、子育てをしていようが、良いクオリティを持っているのだから自信を持って」と指摘を受けました。自己評価を下げる必要はないんです。女性自身が無意識に一歩下がってしまっているのかもしれません。これとは別に、違う目線の気付きもありました。保育事業では、どの施設も仕事に従事しているのは女性が多く、男性のなり手が少ないのです。その大きな理由は待遇でしょう。(賃金を抑えられる)女性が働く職場という認識が強いのかもしれません。男女問わず長く働き続けられる業界とは言えないのが現状です。

渡辺 保険業界で言うと、国内企業はいわゆる「セールスレディ」と言われるように営業女性の割合が多いのですが、外資は男性が多く、成果・実力主義。男女比にも違いがあるように思います。

三田 空き家を改修して活用するプロジェクトを立ち上げた際、私も職人に交じって現場で作業しました。どうせなら、と電気工事士の資格も取りました。もちろん、体力や体格差はあるけれど、「できないだろう」と思われている先入観をなくしたいと思っています。私が通っていた女子中学・高校はキャリア教育・起業体験のプログラムがありました。社会で活躍できる人材を育てるという意図があり、男女の役割が存在しない環境で「自分たちでもできるんだ」という自信がつきました。こうした物の見方は、教育の場の影響も大きいかもしれません。

「私」が尊重される社会に

 ――これからの社会の中で、「男女共同参画」に求める気付きや、横須賀で活動する”ひとり”として、「こんな街になったら」という思いがあれば聞かせてください。

五本木 私たちの学童では、障害のある子どももない子も一緒に過ごしています。発語がない子も、ぶつかり合いで関わりながら、コミュニケーションをとっています。こうした「相手を思う」ことは非常に大事な部分。障害や男女の多様性はもちろん、そういう括りではなく、ひとりの「人」として楽しく生きていくために、どのような支援ができるのか。私たちが拠点とする久里浜から種をまきながら、実りにつなげていきたいと思います。

渡辺 私の仕事は活動している人をつないでいくことだと思っています。ただ、横須賀の人は少し内向的かもしれません。歴史的にも新しい文化を受け入れる土壌のある町。多様性の考え方をもっと取り入れてほしいです。

三田 最近、ジェンダーの問題を発信する人が増えてきたと思います。男性だから・女性だからではなく、その人だからできることが尊重される社会になればいいですね。

菊池 私は以前、高校で養護教諭をしていましたが、日本では18歳を境に支援の対象から外れてしまうことを知りました。若者を自立につなぐための伴走支援を行いながら、すべての人が「未来を自分で選択できる世界」を作りたい。自分自身も、相手も、かけがえのない存在であることを認めあえる社会になっていたらいいなと思っています。そして形式的な「男女平等」ではなく、男性と女性の生物学的性別の違いを考慮したうえで、ジェンダーに関係なく活躍できる社会であることを期待します。

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