管理職への昇進は、一般的には「めでたいこと」だが、現実はそうでもないらしい。30歳で営業部の主任に昇進したA村さん(30歳・男性、仮名=以下同)は、部下の残業を減らすために仕事を手伝うも、その間の残業代や手当がまったくつかず「働き損」になっていることを前編〈昇進したら残業代も手当もつかず「働き損」?30歳で管理職になった会社員の「大誤算」〉でお伝えした。
上司のB城課長からは「管理職はそんなものだと思ってあきらめなさい」と言われたA村さんだが、はたして本当に「管理職はそんなもの」なのだろうか。
本記事では、そもそも管理職とは何かからA村さんのその後まで、順を追って、社労士の木村政美氏が解説する。
そもそも「管理職」って何?
【管理職とは】
一般的には、部長、課長、マネージャーなど企業の中で部下を指導する立場にある社員のことを「管理職」と呼んでいる。
管理職の名称や範囲は企業で独自に決めることができる。また、役職ごとに基本給とは別に役職手当が支給されることが多い。
しかし一般的な話として、「管理職になると長時間働いても残業代が出なくなった」という内容をよく耳にするが、これは果たして法律上正しい処遇なのだろうか?
【管理監督者とは】
企業でいう「管理職」は労働基準法上(以下、「労基法」)では「管理監督者」にあたるがこの2つの意味には明確な違いがある。
労基法で定めた管理監督者とは、「労務管理上経営者と一体的な立場にあり、労働時間等の規制の枠を超えて活動する必要があるくらい重要な職務を担う者」のことであり、具体的に説明すると次のようになる。
【労働基準法上の管理監督者の要件】
(1) 出勤日や出勤・退勤時間の制限がないなど、労働時間や業務量を自己裁量で調整できること。
労働契約において、あらかじめ労働日や勤務時間が決められ、出退勤記録により労働時間を管理されるのではなく、業務上の都合に合わせて出勤日や勤務時間を自己判断で決められる権限があること。
(ただし、管理監督者であっても健康管理上長時間労働を抑制する観点から、労働時間を管理するため出退勤記録を残す必要がある)
(2) 賃金面などの処遇が、管理監督者の地位にふさわしい内容になっていること。給与において、役職の責務に相応した基本給や役職手当などが支給されていること。
役職手当の額に法律的な決まりはないが、企業内での役職責務の大きさに対して役職手当が低額な場合、給与面の処遇が同年代の非管理職社員と違いがない場合などは、管理監督者にふさわしい待遇とは言えない。
(3) 自分が管轄する部署内において、職務内容や責任、権限が経営者と一体の立場にあること。
業務内容については他からその都度指示を受けたり判断を仰ぎながら行うものではなく、自分の職場の範囲内では自己の権限、裁量で行えること。
企業の管理職が管理監督者として認められるか否かは、上記の(1)から(3)を総合的に勘案して決定される。
からの記事と詳細 ( 「管理職だから残業代が出ない」はおかしい…! 30歳の主任がとった「思い切った行動」 - 現代ビジネス )
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