第10回神戸マラソン(兵庫県、神戸市など主催、朝日新聞社など共催)は20日午前9時、約2万人のランナーが神戸市役所前をスタートする。レースは明石海峡大橋のたもとを過ぎてから折り返し、ポートアイランドにあるゴールまでの42・195キロに挑む。3年ぶりの大会を盛り上げるランナーや招待選手に、意気込みを聞いた。(岩本修弥、大下美倫)
「走るのめっちゃ嫌いなんすよ、昔から。絶対いややと思ったから、逆に挑戦することにしました」
2001年に結成されたロックバンド「ワタナベフラワー」のボーカル、クマガイタツロウさん(43)は、参加者と一緒に走って大会を盛り上げる「フレンドシップランナー」。人生で初めて、フルマラソンに挑む。
昨年は神戸市内全9区に住む企画を達成し、SNSやラジオ番組で神戸の魅力を発信し続けている。でも、自身いわく、「嫌いなことから、逃げてばかりの人生」でもあった。たとえば、学生時代はサッカー部だったが、ランニングはこっそりサボっていた。このままではダメだと今年1月に一念発起してフルマラソン挑戦を決め、6月から本格的に練習を始めた。
目標はもちろん、完走だ。「僕も頑張るから、みんなも苦手なことに挑戦しよう。そんなきっかけにしてほしい」
この日のために、大好きなお酒を断っている。完走後のビールの「至極の一杯」を楽しみに、神戸の街を走る。
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前回大会から導入された、関西にある総領事館の職員が神戸の街を駆け抜ける「国際交流推進ランナー」。今年は5人のランナーが挑戦する。その一人、在神戸パナマ共和国総領事館の総領事を務めるビクトル・アルメンゴールさん(42)は「マラソンを通じて、日本とパナマの架け橋になりたい」と意気込む。
中米にあり、大西洋と太平洋を結ぶ運河で知られるパナマ。ビクトルさんの普段の業務は、海の法律家だ。弁護士資格を持つビクトルさんは、海事法が専門。神戸港に多く入港するパナマ船籍の管理をしている。
野球、サッカー、ボクシング――。ビクトルさんによると、パナマで人気のスポーツの中でも、とくに伝統的なものがマラソンだという。例年国際マラソンがパナマで開かれ、ランナークラブに入ってマラソンに打ち込む人も多い。ビクトルさん自身も、週に5日、神戸市内を5キロほど走ったり歩いたりしながら、街の情景を楽しんでいる。
今大会は、新型コロナの影響で一般の外国人ランナーは走らない。ビクトルさんは、参加できなかったランナーの分も大会を楽しみたいと言う。「海や山に囲まれた神戸の街は、パナマにそっくり。将来多くのパナマの人が参加してくれるように、まずは私が大会を盛り上げたい」
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神戸マラソンの招待選手11人が19日、神戸市中央区の神戸ポートピアホテルに集まり、大会前に意気込みを語った。
3年前の第9回大会で、女子の大会新記録となる2時間27分39秒で女子1位に輝いた山口遥選手(35=AC・KITA)は「安定したペースで淡々と刻み、後半失速しないような走りをしたい」と抱負を述べた。
坪内淳一選手(35=黒崎播磨)は同大会で日本人選手最高の3位だった。「選手として飛躍のきっかけになったのが、前回の神戸マラソン。チャンスがあれば、優勝を狙いたい」とスタートを心待ちにしていた。
今回は国外の一般ランナーの募集はしていないが、海外から特別参加選手がレースに挑む。兄とともに走るケニア出身のエルカナ・ランガット選手(25)は「ホテルから片側に山、もう片側に海が見え、神戸は落ち着いた環境という印象。その歴史に名を刻みたい」と意気込んだ。
からの記事と詳細 ( 「日本との架け橋に」「走るの嫌いだから」 それぞれの神戸マラソン:朝日新聞デジタル - 朝日新聞デジタル )
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