そろそろ、口元に色と美しさを取り戻そう口紅復活!
「メイクにおいて口紅とは、キレイへの執念と性的アピールを象徴するアイテム。やはり永遠!」 紅を塗らなくなった人……実に8割超え。そんなアンケート結果がある。もともとメイク意識の高い人たちを対象にしたアンケートですら、半数近くが口紅をあまり塗らなくなったと答えている。言うまでもなく、長引くコロナ禍でメイク事情が大きく変わった中、一番ドラスティックにダメージを受けているのが口紅。その実態は私たちの想像を超えていた。 当然のことながら口紅の売り上げも激減。このままでは口紅がなくなってしまう……そんな声さえ聞こえてきたり。 でも、コスメ市場から口紅がなくなってしまうなんて、実際あり得るのだろうか。言わずもがな、口紅はコスメの象徴。人が美しくなるための、ひと塗りのマジック。いかにマスク生活が続いても、口紅は口紅、なくなるはずはない。ところが意外に知られていないのが、口紅の空白期間。化粧の長い歴史において、口紅は常に存在していたわけではない。むしろアイシャドウやフェイスパウダー、チークなどに比べれば、イレギュラーなアイテムだったのだ。 例えばクレオパトラの時代、ご存知のように、アイラインやアイシャドウは強烈なまでのインパクトを放ったわけだが、リップメイクの印象はさほどない。実際この時代の化粧は、口紅を塗らないのが一般的だったとの説がある。でもなぜ? クレオパトラ映画のシーンとは異なるけれど、この時代はキスの習慣がなく、従って唇は官能の発露でもないし、誘惑の手段にもならなかったからだと言われるのだ。 そして、宗教の戒律が厳しかった中世の時代は化粧が禁止され、19世紀にも口紅は「ふしだら」という理由で敬遠される時代があった。これらを総括すると、口紅は性的なアピールの象徴だったわけだ。ちなみにヨーロッパの貴族社会はまさに不倫こそ文化、男女関係が乱れきっていたからこそ、口紅が発展したと言えなくもない。とは言えどの時代の口紅も、当然のことながらとんでもなく粗悪なもの。毒性のある材料が使われた時代もあって、まさに命がけ。それでも体を張って唇を彩ってきた口紅の歴史は、少しでもキレイになりたい女のサガを、時を超えて物語る。 つまりメイクにおいて口紅は必ずしもマストじゃないが、キレイへの執念と性的アピールを象徴するアイテムだけに、やはり永遠! そういうことだろうか。 話を元に戻して、マスク生活がもたらした口紅存続の危機は、もちろん一過性の議論に他ならない。でも、口紅を再開させるその前にちょっと聞いてほしい。せっかく口紅を休んだのだから、改めて口紅の意味を問う時なのではないか。マスク生活が長引くとしても、ただただ落ちない口紅を探すのではなくコロナ収束に向けて「良かった良かった」と何事もなかったようにリップメイクを復活させるのではなく、なぜ自分に口紅が必要なのか、それを見つめ直すたった一度のチャンスと考えてみたいのだ。これまであまり深く考えたことがなかった口紅の意義。改めて紐解いていくと、そこにはざっくり3つの理由が考えられる。 (1)血の気を加えて、生き生き見せる。肌色との対比で肌を白く見せる効果も。(2)艶を加えて濡れたような唇を作り、性的誘引力を持つ唇を作る。(3)顔をモードにする。服の色とコーディネートして、洗練を生む。 口紅を買う時、選ぶ時、まず自分が何をしたいのか? 目的は3つのうちのどれなのか? それをまず考えてみてほしい。今年のトレンドなどはひとまず横に置き、口紅の原点に戻ってもう一度口紅と向き合ってみて欲しいのだ。 単純に、(1)の目的なら、レッドの口紅を選ぶだろうし、(2)なら、ヌーディでグロッシーの口紅を選ぶだろう。ちなみにヌーディな口紅はマットであってもまさに体のヌードを思わせるから、どちらにしても官能的に見えるのだ。そして(3)なら、思い切りモードのカラーを。この時口紅だけのトレンドを追わず、ファッションとのカラーコーデを考えるような、洗練を生む選択をしてほしい。 さらに言えば、マスクによって明らかに無表情の時間が多くなり、表情筋が凝り固まって、それがたるみの原因になる一方で、口角の位置も明らかに下がっている。それはマスクで隠しているからだけではない、口紅を塗らないから。唇が人目を意識しないからなのだ。 そしてマスク装着のみならず、口紅を塗っていないことで、おそらく笑顔の数も半減しているはず。人間、笑わないと、もっともっと笑えなくなる。そして単純に不機嫌な顔になっていく。今まで考えたこともなかった“口紅をつけない副作用”。そういうこともひっくるめて、改めて口紅の大切さに気づくべき時なのではないだろうか。 だから、改めて言いたい。いよいよ口紅復活! 一人一人の中で、これまでとは違う、やみくもではない口紅生活が始まる。今までの何倍も口紅効果を感じる、本当のリップメイクが始まるのだと。
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