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Sunday, March 6, 2022

「不注意だからミスが起きる」というのは大きな誤解 - 日経ビジネスオンライン

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 部下がミスをするのは注意が足りないから、仕事への適性が欠けているからと考える上司が多い。しかし、注意喚起でミスは無くならないし、そもそも能力や心構えとミスに関係性はないと行動科学マネジメントの第一人者・石田淳氏は語る。ミスを生むのは日常のよくある言動なのだ。石田氏の著書『無くならないミスの無くし方』(日本経済新聞出版)から一部抜粋してお届けする。

ミスをするのは能力が低いから?

「発注したつもりが実際は発注しておらず、商品が欠品した」
「指さし確認をしたにもかかわらず、誤った状態のまま作業が進んでしまった」
「顧客データの入った書類を紛失した」
 ちょっとしたミスが大きな事故につながる、顧客からの信頼を失うことになる。経営者、管理職、リーダーであれば身に染みてご存じのことでしょう。

 ましてや今はSNSで瞬時に情報が拡散する時代。1つのミスに起因する事故が、組織の根幹を揺るがすことになりかねません。

 そして、経営層やリーダーはよくこうおっしゃるのです。
「うちの会社は優秀なやつが少ないから、ミスが多いんだ」
「ミスをしない『できる人材』が来てくれたら、うれしいんだけど」

 ミスや事故が発生するしないは、一人ひとりの能力・性格・心構えの問題だという見方です。

 その見方に立って、
「ミスをしてはいけない。ミスをするとこんな大変なことになる」
「事故を起こさないためには、こんな心構えでいなければならない」
と部下に意識を徹底するよう諭します。

 しかし、相手の心構えや姿勢、意識に訴えかける「内面にフォーカスするマネジメント」は、「ミス・事故を無くすマネジメント」ということはできません。

 これは、私が推奨する「組織行動セーフティマネジメント=BBS(Behavior Based Safety)」の考え方です。
 組織行動セーフティマネジメントとは、行動分析学をベースとした行動科学マネジメントに基づく危機管理(リスクマネジメント)の手法で、「いつ・誰が・誰に対して・どこでやっても」同じような効果が出る、高い再現性が認められるものです。

人間は「メリットのある行動」を選択する

 なぜ注意をしても、マニュアルがあってもミスが生まれるか。
 その理由は、「人間の行動原理」にあります。

[人間の行動原理]
人間は「結果にメリットのある行動」を選択する。

「正しいやり方」を指導されても、マニュアルやチェックリストが存在してもミスが無くならず、組織が危険をはらみ続けるのは、人間のこうした行動原理がそれらに勝るからにほかなりません。
 これをよく理解した上で、ミスや事故を無くす方法を考えなくては、ミスや事故が無くなることは決してないのです。

・マネジャーやリーダーがフォーカスすべきなのは人間の行動原理であり、そこから発生する具体的な「行動」。
・ミスや事故を防止するために、相手の「行動」をコントロールする必要がある。

 そのためにまず知っておかなければならないのが、相手の行動の背景にあるもの、すなわちミスが生まれる背景です。

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