横浜FCで迎えた2度目の転機「外す理由を与えてしまったら自分は出られなくなる」
大宮アルディージャのGK南雄太が前人未到の記録を樹立した。J2リーグ第14節、大分トリニータ戦でJリーグ通算661試合出場(J1=266試合、J2=395試合)をマーク。名古屋グランパスエイトなどで活躍した元日本代表GK楢崎正剛氏が持つ660試合を更新し、GK最多出場数を塗り替えた。柏レイソル(291試合)、ロアッソ熊本(155試合)、横浜FC(183試合)を経て、大宮(32試合)でプロ25年目となる42歳の歴史を盟友の言葉などから紐解く。(取材・文=松澤明美/全2回の2回目)
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南は2度目の転機を迎えた。
横浜FCでプレーしていた2017年、大怪我を負って長く戦列から遠のいた。37~38歳の時期で周囲を見渡せば年齢的にも“引退”が頭をかすめてもおかしくはない。「満了になってどこからもオファーがこなければそこで終わる。怪我をしたらダメだなと思って、しないための準備をより一層やらないといけない」とヒシヒシと実感したという。
翌年の契約は継続されたものの、改めて経験した危機感が南を“鉄人”へと育てた。「ピッチに立つ、チームの勝利に貢献するところをモチベーションにやっている。そのためには練習を休んじゃいけないし、ちょっとでも外す理由などを与えてしまったら自分は出られなくなる。だから練習は絶対に休まないし、そういうところで怪我をしたらもう終わっちゃう」。
今季も執念が伝わる試合があった。南は第6節のファジアーノ岡山戦で右目付近を負傷。無念の途中交代となり、右目は赤黒く腫れている。視界の心配などから次節の出場は不透明だった。しかし、わずか中3日でコンディションを整え、FC町田ゼルビア戦に先発で登場。GK3人体制(当時)で上田智輝が長期離脱する台所事情はあるにせよ、不屈の魂を見せた。
南の原動力は何なのか。
答えを、大宮の北嶋秀朗ヘッドコーチが解説する。「アイツの一番すごいところは成長できると思っていること。『俺は成長できる』と毎日、取り組んでいる姿勢が何よりもリスペクト。本気でまだ上手くなると思っている。本気だからすごい。実際、上手くなっていて、キックもどんどん上手くなっている。(みんなに)『成長するんだよ』と声を大にして言いたい」
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