昨年、結婚に伴う国からの一時金を辞退した元皇族の眞子さん。そんな眞子さんを心配してか、「天皇家や秋篠宮家から援助してもらえば贅沢な暮らしは十分できるんじゃないの」という声もあったが、残念ながらそれは的外れである。
いったいなぜ小室眞子さん・圭さん夫婦が「天皇家の財産」を頼ることは難しいのか? ジャーナリストの奥野修司氏による新刊『マコクライシス』より一部抜粋してお届けする。(全3回の3回目/#1、#2を読む)
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皇籍を離脱した者に支給される「一時金」とは何か?
本来なら眞子さんが小室圭さんと結婚して皇籍を離脱すれば、一時金として1億数千万円が支給されたはずなのに、一時金を受け取ることに猛烈な批判があったことを配慮して、眞子さんは受け取りの辞退を決めた。結局、政府と宮内庁はこれを追認するかたちで、一時金を支給しないことを決定している。
おそらく眞子さんにある程度の貯蓄があったからだろうと思われる。仮に眞子さんが成年後に受け取ってきた皇族費915万円(年間)をすべて貯金していたとすれば1億円近くになっているはずである。少なくとも預貯金がなければ問題になっていただろう。
とはいえ、一時金は、「皇族であった者としての品位保持の資に充てるために」支出するお金である。皇族にはお付き合いから衣装まで、われわれ庶民には想像ができない金額が必要になる。
例えば、ヨーロッパに行けば、皇室と親交のある王室もあり、きっと元内親王の眞子さんは招待されるだろう。そのとき、まさかカジュアルな服装で訪問するわけにもいかないだろうからそれなりの衣装は必要だ。それも元皇族としての品位を落とさないためにどうしても高額になる。一時金とは、一般人になっても、元皇族としての品位を保つために渡される資金なのだ。
眞子さんが結婚して、皇族から一般人になったからといって、公人である皇族から完全に私人になったわけではない。「元皇族」という性格を併せ持つ、いわば準公人なのだ。一時金は、もらう、もらわないではなく、受け取るべきお金だったのである。それなのに、自ら辞退しなければならないところまで追い込まれた眞子さんは、お気の毒としか言いようがない。
一時金をもらうことが「税金泥棒」とまで言われ、果ては「税金で生活しているくせに」と、ひどい言われ方をしてきた。要は、皇族は税金をもらって生活しているんだから国民の言うことを聞けということらしい。税金で生活しているのは政治家もそうなのに、政治家に対しては、「ろくな政治活動をしていないんだから税金を返せ!」なんて抗議はしない。税金をもらったら国民の言うことを聞かなくちゃいけないなら、公務員はまともに結婚できないことになる。こんな風潮が広がっていけば、税金で支えられている人間は「国民の言うことを聞け」から、やがて「政府の言うことを聞け」になってしまうだろう。
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