「円安だから、あの世に送るお金が減るんじゃないか」。石垣島に住む旧知の台湾出身者宅でウチカビを焼いていたら、為替相場の話になった▼ご先祖様のために紙を焼く習慣は台湾にもあり、そのための紙銭というものがある。いわば台湾版のウチカビだが、独特のイラストがプリントされていたりするところがウチカビと違う▼八重山の台湾系の人たちは紙銭を台湾から入手し、お盆や清明の時に使うケースがある。しかし、台湾行きのフェリーは絶えて久しく、紙銭を手に入れるのは簡単ではなくなってきた。コロナで台湾との往来が難しいことも「品薄」に拍車をかけている▼そこで、ピンチヒッターとしてウチカビにご登場願うのだが、台湾のお金ならいざしらず、日本のお金ではあの世でも相場相応に価値が目減りするではないか。こう心配して冒頭の一言になった。いかにも旧盆らしい冗談▼そうかと思うと、円安を好機として、台湾に住む知り合いが日本のホテルを買ったというリアルなエピソードを聞かせてくれた人もいた。虚実が交錯する為替話は油断ならない▼大勢の移民が組み上げてきた八重山だからこその会話といっていい。後生(グソー)に対する想像力はいかにも多様だ。ウシュマイとンミーならどう問答したか。聞いてみたかった。(松田良孝)
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